夫が、残業を理由に帰ってくるのが遅くなった。
自分に対する態度が冷たくなった、また、以前より雑になった。
携帯を常に持ち歩くようになった。
様々な疑惑から発覚した夫の不倫。
不倫は離婚の原因となり、精神的な苦痛に対する慰謝料の請求も可能になります。
そこで、必要になるのは裁判で認められやすい証拠です。
この記事では、夫の不倫の証拠についてと集めるにはどうすればよいのか。
又、その際の注意点を説明していきます。
目次
不倫(不貞)について
まず、「不倫」「浮気」と日常会話で使いますが、法律上で重要なことはその「不倫」「浮気」が、「不貞」であるかどうかです。
「不貞」とは、婚姻関係にあるパートナーが、別の異性と「肉体関係」を持つことを言います。
また、この行為を「不貞行為」とも言います。
「不貞」は婚姻関係にある男女、または、内縁関係にある男女に適応され、婚姻関係がない男女には適応されません。
ですから、「他の女性と二人で食事に行った」「他の女性と二人で外出した」など、ただ他の異性と仲が良い関係では「不貞」とはなりません。
「不貞」には、「肉体関係」があるのかが重要なポイントになってきます。
法律上で認められる不貞(不倫)の証拠は「肉体関係」の証明が大きなポイントとなり、離婚や別居、慰謝料請求などを進める中でとても重要です。
夫の不倫の証拠を押さえるべき6つの理由
では、不貞となる夫の不倫の証拠を押さえることは、具体的にどのような意味やメリットがあるのか。
6つ説明していきます。
① 夫を有責配偶者として扱える
離婚原因を作った責任のある配偶者を「有責配偶者」と言います。
「不貞」は法律上で離婚原因となるので、証拠を押さえると夫は「有責配偶者」となります。
「有責配偶者」となった夫は様々な責任を負うこととなり、基本的に妻から提示された条件を受け入れなければなりません。
② 離婚したい場合に認められやすい
不貞の証拠を押さえたあなたが、離婚したい場合、離婚が成立しやすくなります。
離婚は本来であれば、協議離婚・調停離婚・裁判離婚とあり、夫と妻がお互いに納得したうえで成立するものです。
お互いが納得していない状況では離婚は難しく、裁判で争ったりと簡単にはいきません。
しかし、不貞の証拠を押さえられれば、不倫した夫を「有責配偶者」として扱えるため、夫が納得しない場合でも、基本的に離婚が認められます。
例え断固として訴えて、裁判で争うことになっても、不貞の証拠を持っているあなたに、夫が付け入るスキはないでしょう。
③ 離婚したくない場合に認められやすい
あなたが離婚したくない場合も、言い分が認められやすくなります。
逆に夫が離婚したくて、あなたが離婚したくない場合、基本的に離婚はできません。
不倫した夫が開き直って、自分勝手に離婚したいとなっても、小さい子供がいたり、今後の生活に支障をきたしたりと様々な問題が出てきます。
不貞の証拠があれば、そんな心配はなく、小さい子供や今後の生活を守ることにも繋がるのです。
④ 不倫した夫とその不倫相手に慰謝料請求ができる
不貞は法律上(民法上)の不法行為であり、他人の権利を侵害する行為です。
当然、不法行為に対して慰謝料請求ができます。
不貞を行った当事者である、不倫した夫とその不倫相手に、不貞の証拠があれば慰謝料請求が可能です。
また、慰謝料請求は、夫と離婚する場合も離婚しない場合もすることができます。
慰謝料請求を考えているのであれば、必ず不貞の証拠は押さえておきましょう。
⑤ 離婚した際の生活費・養育費の交渉が楽になる
離婚する場合、ついて回る問題がその後の生活費と未成年の子供がいる場合の養育費です。
夫の稼ぎで生活していた家庭では、離婚後にその後の生活や子育てが困難になる場合が多いです。
そのため、お互いに納得した金額を生活費・養育費として、夫が支払うのですが、なかなか話がまとまりにくく、離婚調停や裁判で争うことも…。
不貞の証拠があれば、生活費・養育費の話し合いもスムーズに進み、希望する金額を払ってもらえる確率が高くなるでしょう。
⑥ 夫婦関係修復のきっかけになる
どうしても離婚したくない場合、夫婦関係の修復のきっかけとしても不貞の証拠は有効です。
不倫している夫は、不倫がバレることを想定していないのがほとんどであり、あなたが不貞の証拠を持っているのを知ると、とてつもない罪悪感が生まれます。
単なる遊びのつもりの不倫や、その場で流されてしてしまった不倫などの場合、夫の方から謝罪の言葉と一緒に夫婦関係修復を望んでくることもあります。
不貞の証拠が無ければ、取り繕った言い訳をしたりしてごまかすこともできますが、不貞の証拠があれば言い逃れはできません。
不倫(不貞)の証拠になるもの
不貞の証拠はどのようなものが有効であるのか。「肉体関係」の証明ができるものとはなんなのか。
裁判では、第三者が客観的に見て、「肉体関係」があると判断できるものが不貞の証拠として挙げられます。
怪しいな…というグレーではなく、これは明らかだという黒である必要があります。
では、どのようなものが証拠となるのか説明していきます。
① 動画・画像
肉体関係を証明できる動画や画像は不貞の証拠となります。
ただ、裸で抱き合っている動画や画像では、状況証拠止まりで不貞の証拠にならなかったケースもあります。
性交渉がなされていると第三者が客観的に判断できる動画や画像であれば確実でしょう。
② メッセージアプリやメールでの履歴
メッセージアプリやメール、最近増えてきているマッチングアプリなどの履歴も不貞の証拠となります。
ホテルや居室での宿泊、旅行などで肉体関係があったとわかるやり取りは、第三者が客観的に判断できます。
もし、やり取りの中で、決定的な動画や画像が張り付けてあれば強力な証拠となるでしょう。
③ 不貞を認めた録音データ
不倫した夫やその浮気相手が不貞を認めた録音データがあれば、不貞の証拠となります。
ただ、注意しなくてはならないのが、第三者が客観的に「肉体関係」があったと判断できるかどうかです。
「他の女性と夜に外出した」など、肉体関係があったと明らかに判断できるものでない場合は不貞の証拠とはなりにくいです。
④ 不貞を認めた自認書
不倫した夫やその浮気相手が不貞を認めた自認書も不貞の証拠となります。
こちらも必ず「肉体関係」があったと判断できる内容のものを書いてもらいましょう。
⑤ 探偵などのプロが作成した調査報告書
探偵などのプロが作成した調査報告書は、不貞の証拠となります。
しかし、プロだからと信用しきってしまうのは危険です。
「探偵」といっても様々であり、確かな調査技術を持った探偵でなければ、不貞の証拠を押さえるのは難しいです。
「肉体関係」が証明できる報告書なのかどうか、あなた自身で確かめてみてください。
「肉体関係」証明のポイントは、ホテルや居室への出入りの撮影シーンがあるのかどうかです。
また、不倫相手などの居室への出入りであれば、複数回の出入りを撮影できているのが望ましいです。
複数回の不貞の証拠があれば、言い逃れはできません。
⑥ 避妊具・アダルト玩具(状況証拠)
見知らぬ避妊具やアダルト玩具は、決定的な証拠にはなりませんが、状況証拠にはなります。
多くの場合、このようなものが見つかっても、「自分の趣味」などと言って言い逃れられてしまいますが、他に決定的な不貞の証拠があれば、その証拠をさらに強力なものとする状況証拠として有効でしょう。
⑦ ホテルなどの宿泊施設の領収書(状況証拠)
ホテルなどの宿泊施設の領収書も、状況証拠としては有効です。
そもそも、ホテルの領収書をずっと持っておくことは滅多にないので、発見できればラッキーです。
⑧ スケジュールアプリや手帳(状況証拠)
スケジュールアプリや手帳も状況証拠として有効です。
デートや旅行に行くスケジュールが確認し、控えておけば、決定的な不貞の証拠と合わせて有効利用しましょう。
不倫(不貞)の証拠にならないもの
次に状況証拠としても弱く、不貞の証拠とならないものを説明していきます。
これらは、不貞の証拠収集の参考として活用しましょう。
① クレジットカードの明細
レストランや宿泊施設の利用が明細に記載されていたとしても、言い逃れられてしまいます。
「いつもあのホテルに行くのか?」「いつもあの施設を利用しているのか?」など不貞の証拠収集の参考程度にしましょう。
② 通話履歴
女性に電話をかけているのが通話履歴で分かれば、かける時間帯や通話時間などを不貞の証拠収集の参考にしましょう。
③ メモアプリ
スマホのメモにヒントになりそうなものがあれば、不貞の証拠収集の参考にしましょう。
④ 手紙
最近はほとんどないと思いますが、女性からの手紙などがあれば不貞の証拠収集の参考にしましょう。
⑤ 交通系ICカードの履歴
交通系ICカードの履歴は、ICカードがあれば簡単に確認できます。
しかし、夫のICカードを持ち出すこと自体がリスクであるのでやめるべきです。
⑥ カーナビの履歴
マップアプリが普及した最近ではあまり使われなくなりましたが、カーナビを利用してデートや旅行をしていた場合は、履歴からその日の行き先がわかるので、不貞の証拠収集の参考にしましょう。
⑦ ETCカードの履歴
ETCカードを夫婦で共有していれば、履歴から大まかな行き先が分かるかもしれません。
不貞の証拠収集の参考にしましょう。
⑧ ブランド品などのプレゼント
夫の趣味ではない、不倫相手からもらったであろうブランド品やプレゼントも、不倫相手の年齢や人柄など、参考になるかもしれません。
⑨ 不倫相手と間違って送られてきたメッセージ
確率は低いですが、不倫相手に送るはずのメッセージが、妻に誤送信されることがあります。
内容が確認できれば、不貞の証拠収集の参考にしましょう。
⑩ GPSの位置履歴
普段使用する車にGPSを設置できれば、GPSの位置履歴から行動パターンなどが分かります。
利用するホテルや不倫相手と接触したであろう地点などが分かれば、不貞の証拠収集の参考にしましょう。
⑪ SNSの投稿
SNSを利用していれば、投稿されている動画や画像に不倫相手についてのヒントがあるかもしれません。
⑫ 同僚や友人などの証言
同僚や友人などが不倫現場を目撃したと報告してくることもあります。
不倫相手の特徴などが分かれば、不貞の証拠収集の参考にしましょう。
自分で不倫の証拠を集めるリスク
自分で不倫の証拠を集めようとする方がいますが、正直言いますとオススメできません。
疑心暗鬼な状態で行動してしまうと、落ち着いた振る舞いができず、警戒心を与えたり、最悪バレてしまいます。
どうしても自分でやりたいという方は、普段の日常生活の範囲で状況証拠から集めてみてください。
素人であるあなたが、夫を尾行し、夫と不倫相手がホテルに入ったのを確認できたとしましょう。
多くの方は、その時点で平静を保てずに、ホテルに乗り込んだり、その場で取っ組み合いになってしまったりと、不貞の証拠を押さえるどころか、あなたが悪者になってしまうことにもなりかねません。
まずは、共有のクレジットカード・ETCカードの履歴チェックや、共有の車があるならGPSを設置するなど、比較的にやりやすいことから始めてみてはいかがでしょうか。
探偵などのプロに不倫の証拠収集を依頼するメリットと注意点
不貞の状況証拠がいくつか集まり、自分でこれ以上の証拠収集が限界だと感じたら、探偵などのプロに依頼してみるのもいいかもしれません。
では、探偵などのプロに依頼するメリット、また、その際の注意点を説明していきます。
探偵などのプロに依頼するメリット
日常的に不貞の証拠を押さえているプロに依頼できれば、限りなく低いリスクで不貞の証拠を押さえることができます。
不貞の証拠を押さえるのに欠かせないのが、尾行と張り込みです。
一般的に、尾行というのはストーカー規制法や迷惑防止条例で違反となるのですが、探偵は「探偵業法」によって、低いリスクで尾行が行えます。
張り込みも洗練された技術が必要であり、日常的に張り込んでいる探偵はそれを熟知しています。
また、一般では見慣れない調査機材を使って、一見困難な状況でも不貞の証拠を押さえられる訓練を受けているのです。
依頼する際の注意点
〇探偵業の届出がされているか
探偵は「探偵業法」で、公安委員会に届出をしなければならないという決まりがあります。
届出をした探偵事務所は「探偵業届出証明書」が発行されています。
依頼を考えている探偵事務所に「探偵業の届出」がされているのかを確認しましょう。
〇料金について
不明瞭な料金プランであったり、異常に安い金額を提示している探偵事務所には注意が必要です。
最初のプランに記載されていない機材費などの名目で高い金額を要求してきたり、一見安い金額でも報告書作成費等で金額を吊り上げ、払わないと報告書は渡せないなど、悪質な探偵事務所が存在しているのも事実です。
数社から見積書を出してもらって、しっかりと何にどれだけの金額がかかるのかを理解したうえで依頼することが大切です。
〇調査について
不倫調査を進めていく中で、判明事項が出た場合にきちんと報告してもらえるのかを確認しましょう。
依頼してから何週間も連絡が取れないなんてことにならないように、案件担当者に定期的に調査の進捗状況を確認し、怪しいと感じたら、探偵事務所を変えるのも選択の一つです。
又、調査には調査報告書がセットです。
必ず作成してもらえるのかを確認し、可能であればサンプルを見せてもらいましょう。
〇アフターフォロー
不貞の証拠を押さえた後、次に何をすべきなのかどなたも不安だと思います。
探偵事務所によっては、調査後のアフターフォローが充実しているところもあります。
中には、あなたの希望に合わせ、示談書の作成できる行政書士や安心して相談できる弁護士を紹介してくれる探偵事務所もあるでしょう。
決して安くはない金額を使う訳ですから、その探偵事務所はどこまでしてくれるのか?見極めて依頼してみてください。
まとめ
今回は、不倫(不貞)の証拠収集や注意点について説明しましたがいかがでしたでしょうか?
不貞についてや不貞の証拠となるものとならないものなど、意外なことが多かったかと思います。
また、自分で不貞の証拠を押さえる難しさや、探偵などのプロに依頼するメリットと注意すべきことなど、参考にしていただければ幸いです。
不貞は「肉体関係」を証明しなければなりませんので、証拠を押さえるには精神的な苦痛は必ずついてまわります。
だからこそ、証拠を押さえるにあたり、冷静に準備をして行動してください。
あなたの抱えた問題が一日でも早く解決できるよう、応援しています。